■本公演
したため#7『擬娩』京都・沖縄二都市ツアー
分断に取り囲まれたわたしたちに残された手立ては、想像力の再起動だ
演出|和田ながら
美術|林葵衣
出演|岸本昌也 増田美佳 松田早穂(dracom) 三田村啓示
京都を拠点に活動する演劇ユニット・したためは、太田省吾、多和田葉子、テレサ・ハッキョン・チャなど言語の可能性を探求する作家たちのテクストを逐語的に接写するような作品、また、日々の暮らしのささやかな記憶を思い出すこと/思い出しそこなうことをめぐる作品を制作してきました。
そのしたためが新たに出会ったモチーフは、妻の出産前後にその夫が妊娠にまつわる行為を模倣する「擬娩(ぎべん)」。この奇妙な、そしてあまりに演劇的な習俗は、さまざまな分断に取り囲まれた今のわたしたちにこそ必要な想像力に違いありません。
したためが現代に再起動する「擬娩」に、どうぞお立ち会いください。
わたしは妊娠したことがありません。したことがないので、できるのかもわかりません。わたしは妊娠にあこがれているのかもしれないし、妊娠を恐れているのかもしれない。真剣に考えることをのらくら避けてきた末に焦りにがんじがらめになってしまって、しかしその時ひらめいたのが、妊娠と出産のリハーサルでした。妊娠したことがない人間が妊娠をリハーサルするなら、女だけじゃなくて男も一緒にリハーサルしてみよう。そんなことを考えていたら、「擬娩」という人類学の用語に行き着きました。妊娠を演じるというアイデアは、人類の古くからの知恵だった! 驚くと同時に腑に落ちました。妊娠を演じることは、わたしひとりが考えていたよりもはるかに人間に必要で、そしてそれはまさしく今なのだと。
したため 和田ながら
これらの習俗は、子供の父が、子供の出産当時あるいはその以前又は産後のある期間、自分の床につき、節食に服して、しかも、その妻ではなくて、彼が分娩の苦痛を受けているかのごとく、一般に振舞うべき事を必要としている。その完全な形態においては、擬娩を遵奉する夫は、自分の床について、産褥にいるふうをし、時には、うめいたり、顔をしかめたりすることによって、分娩の諸々の苦痛を真似ることさえし、また時には、その妻の衣類を着ることさえある。『擬娩の習俗』(著:ワーレン・アール・ドーソン/訳:中西定雄/1929年)より
公演情報
京都公演 [ THEATRE E9 KYOTO オープニングプログラム ]
日程|2019年12月
6日(金)19:30
7日(土)14:00*1 / 19:00*2
8日(日)14:00*3 / 19:00*4
9日(月)14:00*5
*受付開始は開演の30分前
ポスト・パフォーマンス・トーク ゲスト
*1 櫻井拓(編集者)
*2 林葵衣(美術家/本作舞台美術担当)
*3 弓井茉那(BEBERICA theatre company代表・演出/俳優)
*4 本作出演者
*5 「感想シェア会」
作品を見て感じたこと・考えたことを、
同じ作品を観た人同士でシェアしてみる試みです。
詳細は⇒ http://kyoto-pa.org/
主催|NPO法人京都舞台芸術協会
会場|
THEATRE E9 KYOTO (〒601-8013 京都市南区東九条南河原町9-1)
*JR「京都」八条口から徒歩約14分
*京阪本線・JR「東福寺」から徒歩7分
*京都市営地下鉄「九条」から徒歩11分
沖縄公演 [ アトリエ銘苅ベース提携カンパニー公演 ]
ポスト・パフォーマンス・トーク ゲスト
*1 Miwa Matayoshi(soremomatayoshi)
*2 芦立さやか(アートコーディネーター)
会場|
アトリエ銘苅ベース(〒900-0004 沖縄県那覇市字銘苅203番地)
*ゆいレール「古島」から徒歩8分
チケット料金|
一般前売 2,700円
25歳以下前売 2,000円
高校生以下 1,000円
*日時指定・全席自由
*当日券はいずれも+500円
*25歳以下チケット・高校生以下チケットの方は当日の受付にて証明できるものをご提示ください。
[ウェブ(当日精算)]専用フォームよりお申込みください。
京都公演>> https://www.quartet-online.net/ticket/7_giben_kyoto
沖縄公演>> https://www.quartet-online.net/ticket/7_giben_okinawa
[メール(当日精算)]info.shitatame@gmail.com まで、希望公演日時/お名前/券種/人数/ご連絡先を明記の上メールをお送りください。こちらからの返信を以てご予約完了となります。
[THEATRE E9 KYOTO (クレジットカード決済・当日精算)]
https://askyoto.or.jp/e9/ticket/201920
照明|吉田一弥
音響|甲田徹、林実菜
舞台監督|北方こだち
制作|渡邉裕史(ソノノチ)
京都公演制作協力|田中直樹(劇団ひととせ)
沖縄公演制作協力|鳥井由美子(ソー//キュー)
京都芸術センター制作支援事業
助成|京都府文化力チャレンジ補助事業(京都公演)
提携|アトリエ銘苅ベース(沖縄公演)
後援|NPO 法人京都舞台芸術協会、那覇市(沖縄公演)
主催|したため
mail. info.shitatame*gmail.com ※「*」を「@」に変えてください
tel. 050-5318-7717(ワタナベ)
■プロフィール
林葵衣 はやし・あおい
美術家。身体と意識のズレの可視化をコンセプトに、反復によるずれ、色彩の残像、音声の保存をテーマにした作品を制作してきた。自分のものではないようにもどかしく思う見えない身体のふるまいと対話し、目に見える形を与え、提示している。1988年 京都出身、京都在住。京都造形芸術大学院修士課程修了。近年の活動に「VOCA展2018現代美術の展望・新しい平面の作家たち」(2018/上野の森美術館・東京)、「京都府新鋭選抜展」(2019/京都文化博物館)、歌声の可視を試みた個展「詩の復唱」(2019/KUNST ARZT・京都)がある。
撮影:守屋友樹
岸本昌也 きしもと・まさや
1987年滋賀県生まれ。神楽舞をきっかけに舞台に立つようになる。京都造形芸術大学卒業、座・高円寺劇場創造アカデミー修了。現在は関西と東京を行き来し、俳優とグラフィックデザイナーとして活動中。これまでに「地点」「エイチエムピー・シアターカンパニー」などのカンパニーに出演。したためには#3『わたしのある日』#4,#6『文字移植』#5『ディクテ』に続き、4回目の参加となる。また、本公演のすべてのチラシデザインを手掛ける。
撮影:宇田川俊之
増田美佳 ますだ・みか
ダンサー / ゴーストライター。1983年京都生まれ。これまでに演劇、ダンス問わずさまざまな舞台作品に出演。近年は架空の詩人・文筆家 嵯峨実果子のゴーストライターとしても活動し『パラピリオの森』『Kawalala- rhapsody』では作品の主軸となるテキストを執筆する。ジャンル横断的に活動する流動ユニット「mimacul」主宰。『ミことば』で平成27年度第33回世田谷文学賞 詩部門受賞。301句会所属。ウェブマガジンCLASSROOM Magにてコラム「惑生探訪記」を連載中。http://classroom-mag.com 京都市立芸術大学非常勤講師。
撮影:古林正江
松田早穂 まつだ・さほ
兵庫県出身。俳優。大阪を拠点とする公演芸術集団dracomメンバー。京都大学文学部卒業。2008年よりベビー・ピーに参加、人形劇や野外テント作品等に出演。衣装と仮面も製作。他、兵庫県立ピッコロ劇団、B.LET'S、dracom等の作品に出演。
三田村啓示 みたむら・けいじ
主に大阪を中心に活動。2005年より空の驛舎に所属する傍ら、ジャンルを問わず外部出演も多数。近年では俳優以外の活動も並行して行い、明倫art(京都芸術センター発行)の演劇レビューを3年間担当。また観客と創作者の交流の場として、小劇場観劇講座の運営に携わっている。また、大阪の老舗小劇場・ウイングフィールドが主催する若手対象のコンペティション・ウイングカップの審査員として、新しい才能の発掘にも取り組んでいる。2018年より、大阪アーツカウンシル・アーツマネージャー。第18回関西現代演劇俳優賞男優賞受賞。
撮影:永田晶子
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