わたしたちのフリーハンドなアトラス

わたしたちのフリーハンドなアトラス第二期!

2022年秋に成安造形大学にて開催される展覧会「セイアンアーツアテンション15」に、「わたしたちのフリーハンドなアトラス」が参加します。リサーチメンバーを募り、成安造形大学のキャンパスをフィールドにリサーチをおこない、「あたらしいキャンパスマップ」をつくってみる予定、です!

セイアンアーツアテンション15関連企画
わたしたちのフリーハンドなアトラス リサーチメンバー募集
https://artcenter.seian.ac.jp/news/5339/
※リサーチメンバー募集は終了いたしました。


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※報告会は終了しました。

Co-program 2019 カテゴリーC(共同実験)
和田ながら「わたしたちのフリーハンドなアトラス」報告会

京都芸術センター Co-program 2019 カテゴリーC(共同実験)として2019年7月からスタートしたリサーチプロジェクト「わたしたちのフリーハンドなアトラス」。演出家・和田ながらと公募によって集まったリサーチメンバーたちは、地図と/を遊ぶワークショップやフィールドワークを重ねてきました。今回の報告会では、ゲストにdot architectsの家成俊勝氏をお招きし、これまでのトライアルを振り返りながら、これからの「わたしたちのフリーハンドなアトラス」を考えます。

出演|和田ながら(演出家)、「わたしたちのフリーハンドなアトラス」リサーチメンバー
ゲスト|家成俊勝(dot architects)
日時|2020年11月7日(土)14:00‐16:00
会場|京都芸術センター 講堂
料金|無料(要申込)

報告会にあたって(和田ながら)
昨年7月から、あいだに新型コロナウイルスの影響を被りつつ、今年7月まで合計9回ほど、リサーチメンバーで集まってアレやコレやと地図について思いついたことを興味のおもむくままに試してきました。地図で歩くこと、歩くことを地図にすること。現実の街を歩くこと、想像の大地を歩くこと。それらは、遊びのように素朴に楽しい体験でありながら、同時に、地図と身体/フィクションと現実を往復するような行為でもありました。
この報告会では、この1年の蓄積を振り返り、またそれを広くシェアしたいと思っています。そして、このリサーチプロジェクトの将来をフリーハンドに描いてみたいと思っています。たとえばワークショップ開発をして多くの人と遊びあう。たとえば合宿をして特定の地域を徹底的に地図化する。たとえば演劇やダンスやインスタレーション作品をつくる。
複数の手が同時に自在に動くとき、そこにあらわれる地図は、現在地を示すとともに、未来を予言するのかもしれません。

これまでの「わたしたちのフリーハンドなアトラス」の歩み
2019年
7月 公開レクチャー 講師:石川初(慶應義塾大学環境情報学部教授)
8月 第1回|自己紹介/地図紹介
11月 第2回|地図で歩く:京都芸術センターの周辺のいろいろな地図
12月 第3回|地図で歩く:フリースペースで未踏の地(図)を歩く
2020年
1月 第4回|歩くを地図する:くいな橋をひとりで歩きながら地図を描く
第5回|歩くを地図する:有栖川をふたりで歩いた記憶から地図をおこす
2月 第6回|公開リサーチミーティング ゲスト:今和泉隆行(地理人)
6月 第7回|次回フィールドワークに向けて作戦会議
7月 第8回|個別フィールドワーク(東九条)
第9回|フリーハンドな地図づくり
11月 報告会 ゲスト:家成俊勝(dot architects)

ゲストプロフィール

家成俊勝 いえなり・としかつ
1974年兵庫県生まれ。2004年、赤代武志とdot architectを共同設立。京都芸術大学教授。アート、オルタナティブメディア、建築、地域研究、NPOなどが集まるコーポ北加賀屋を拠点に活動。代表作はUmaki Camp(2013、小豆島)、千鳥文化(2017、大阪)など。第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(2016)にて審査員特別表彰を受賞(日本館出展作家)。

主催|和田ながら、京都芸術センター




※「わたしたちのフリーハンドなアトラス」募集および公開レクチャーは終了いたしました。時折、活動報告をアップします!

■「わたしたちのフリーハンドなアトラス」公開レクチャーレポート
和田ながら

「わたしたちのフリーハンドなアトラス」プロジェクトのキックオフとして、7月6日(土)に石川初さんをお招きして公開レクチャーを行いました。地図をテーマにした話をするのは久しぶりで気合が入っているという石川さん、なんと数百枚におよぶスライドを準備してきてくださり、石川さんが蓄積してこられた知見と実践を存分に味わえる贅沢な時間になりました。














レクチャーは地形の話題から始まりました。坂道や階段など身体で認知できる地形と、地図にあらわれる人間の目では一望がかなわない規模の大地の凹凸。そのあいだの断絶をつなぐのは、歩くこと、つまり、地図と身体の両方を使って地形を測量するフィールドワークである、という、
石川さんの設定する「地図師」の基本的態度がすでに聞き手の身体を刺激します。





続いて石川さんは国土地理院が公開している地形データから都市の諸相に次々と迫っていきます。地形図から読み解ける人工的な開発の痕跡、先端に近づくにつれ標高が高まっていく埋立地、そして、国土地理院が規定する地形とはなにか。上空からレーザー測量(10cm単位で得られるという驚くべき精度!)された生データには当然のことながら道路をゆく車や人間、住宅や高層ビルなども含まれるわけですが、地形図としてオフィシャライズされるときにそういったものはデータから除かれます。たとえばたまたま歩いていた私の身体がレーザー測量データに含まれていたからといって、私の頭頂が歩道からプラス160cmの地形とは言えない。けれど、コレは除かれているのに、アレは人工物のくせに地形として登録されているぞ…? みたいな例が次々に。



石川さんが大学の授業で学生さんたちに出した課題とその作品群も多く紹介いただきましたが、どれも発想やビジュアライズが自由で興味深いものばかり。ビッグデータを用いて地図を表現するアーティスト・Eric Fischerの活動や、石川さんも写真を投稿しているThe Degree Confluence Projectなど、ある要素を設定したルールに基づいてプロットするマッピングという行為から見えてくる世界の様々な表情に、目から鱗がボロボロ落ちます。

なにより圧巻だったのは、石川さんがGPSロガーを日々持ち歩き、約20年間記録し続けているご自身の位置情報データ! 富士山の登山から通勤などの日常の動線まで(地下など位置情報が取得できない場所以外の)すべてのログが残っていて、それらをさまざまな文法で地図に描画し、あるいはレイヤーとして重ねていくことでさまざまな発見や物語が導きだされていくさまはとにかくスリリング。家族旅行や休日の草野球といったアクティビティがふだんとは異なる層で見えはじめ、あるいは人間の移動がいかに社会制度や都市のインフラに規定されているかがあらわになっていきます。



そして最後はわたしが石川さんを知ったきっかけでもあるGPS地上絵の話題に。Jeremy WoodのGPS Drawingに刺激を受けてはじまった石川さんのGPS地上絵師キャリアをその処女作から語っていただきました。地図をキャンパスに見立て、自身の移動の軌跡をドローイングの描線とするGPS地上絵では、地図から描きうる像(石川さんの例でいうと豚、象、タモリetc...)を見つける、ということと、目的地のためのルートを決めるのではなくモチーフの輪郭というロジックで街を歩く、という、地図の楽しさと身体の楽しさがまさしくダイレクトにつながっています。地図の遊びとしては最高のものなのかもしれません。いきいきとお話してくださる石川さんがそのなによりの証拠。



汲めども汲めども汲みつくせない石川さんの地図の話。とりわけ印象的だったのは、著書「思考としてのランドスケープ 地上学への誘い─歩くこと、見つけること、育てること」でもおっしゃられていますが、異なるスケールを行き来することの重要性でした。そしてそのスケールは、水平的でもあると同時に、垂直的なスケールでもあるということ。平面として地図に記述される空間と、立体として地面に立つ自分の身体を、自在に結びあわせ、あるいは重ねあわせることでひらかれていく視野の可能性。



 また同時に、個々の地図がその文法においてなにを選択し一方でなにを排除しているのか、あるいはその文法のグレーゾーンでなにが起こっているのか、といったリテラシーを高めていくことの必要も強く感じました。それは、私自身が演劇作品を制作するときに、戯曲など上演の素材となるテキストを、逐語的ともいえる執拗さで読みこんでいく作業とも自然に重なります。なので、「わたしたちのフリーハンドなアトラス」は、まず地図を目と身体で読んでみることのトレーニングから起動させてみよう、と決めました。

メンバーそれぞれが各々の興味でうろうろと歩いていったログを最後に地図に落として眺めてみたら、なんだか勝手でへんてこで、でも、味わいのある絵になったねえ、みたいなことになったらいいなあ、と、思っています。
「わたしたちのフリーハンドなアトラス」、始まりました。





※募集および公開レクチャーは終了いたしました。

地図を読み、地図に動かされ、地図を起こし、地図帳(アトラス)を編む

京都芸術センター Co-program 2019 カテゴリーC(共同実験)

和田ながら『わたしたちのフリーハンドなアトラス』
リサーチメンバー募集

今年度、京都を拠点に活動する演出家・和田ながら(したため)と京都芸術センターが共同で行うリサーチプロジェクト『わたしたちのフリーハンドなアトラス』を開催します。
世界を表現する形式として古代から存在する「地図」は、人間がいかに世界を捉えているかを反映するものでもあり、また逆に、わたしたちの世界観を無意識に、そして根深く規定してしまうものでもあります。縮尺、記号、方角、フレームと中心、境界線といった「地図」の文法をひとつずつときほぐすことから始め、いま、わたしたちが自由になるために必要なアトラス(地図帳)のかたちを、およそ半年をかけて探っていきます。つきまして、レクチャーやフィールドワーク、ディスカッションを通して「地図」を考えるプロセスに共に取り組むリサーチメンバーを募集します。ご自身の作品制作のモチーフとしての「地図」に魅力を感じる方であれば、活動分野や経験は不問です。ふるってご応募ください。

プロジェクトについて
たとえば教室に貼られていた日本列島中心の世界地図、まっすぐな線で駅を結んでいく電車の路線図、街を歩きながら起動するスマートフォンの地図アプリは、わたしの日々にとって、素直なスタンダードだった。素直な、というのはつまり、ほとんど用心していないということだ。
でも、路線図であらわされている通りに正円を描いてぐるぐる回っているものだとイメージしていた山手線は、実際には南北に細長い。
そんなことは別にどうでもいいことだ、と思う。山手線がきれいな丸だと勘違いしていたからって大変だったエピソードなんてこれまでないしさ、と思う。でも仮に山手線で困らされなかったとしてもだよ、と立ち止まる。どこかの知らない誰かから与えられた地図に従順なまま世界を知っているつもりになっていて、いいんだろうか。地図アプリが最短距離の表現として振り付けてくる右折と左折の連続を、本当はたいして急いでないくせにまじめにこなしたその果てに、わたしたちは迷子になることを忘れて、いますでにある地図の上しか歩けなくなってしまう。地図に描かれたさまざまな境界線の政治に鈍感になって、その線の通りに内と外をはっきり分けられるかように錯覚しはじめるかもしれない。

わたしは演劇の演出をしている。戯曲や小説や俳句などを上演のテキストとして扱うことと並行して、日常生活の記憶や写真といった、必ずしも文字によって記されていないものもテキストとして読みこみ、作品をつくってきた。自分にとってのテキストの領域を拡張していきたい、とつねづね考えていたので、はじめは、地図をテキストにできたらおもしろいんじゃないか、ぐらいの思いつきだった。でも、地図について考えていけばいくほど、ただ自分の上演のため、という枠におさめるにはあまりにアブないモチーフだということがわかってきた。これはきっと、たくさんの人のアタマとカラダを巻き込んでしまわないといけない。だって、地図に潜在する政治に耳をそばだて、地図に振り付けられた身体をほどき、世界を測りなおして、新しく自由になるための地図をつくりたい、なんて欲望は、ひとりでは手に負えないわけで。しかも、誰かと一緒なのだったら、そのみんなと一緒に地図帳を編みたい、なんて思ってしまったのです。そう、願わくば、その地図に触れる誰かの身体が軽やかに踊ってしまうような、フリーハンドなアトラスを。
一緒に、やりませんか。
和田ながら

リサーチメンバー募集要項

活動期間|2019年8月- 2020年3月

活動日|2019年8月31日(土)、11月2日(土)、12月21日(土)、
    2020年1月11日(土)、1月25日(土)、2月22日(土)、
    2月29日(土)、3月1日(日)、3月14日(土)
    計9回 各日14:00-17:00

活動内容|地図についてさまざまな角度で考えるディスカッション、
     講師を招いてのレクチャー、地図と歩行の関係を探るフィールドワーク、
     参加者全員の手によるアトラス(地図帳)の構想・制作などを予定。

活動場所京都芸術センター(〒604-8156 京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2)、ほか

応募条件
上記活動日に参加できる方。(参加できない日がある場合は、応募時にお知らせください。)
なんらかの創作活動を行っていて、ご自身の制作のモチーフとして、「地図」に魅力を感じる方。美術、音楽、パフォーマンス、文学、デザイン、建築など、作品のジャンルは問いません。

定員|10名程度 ※応募者多数の場合、選考を行います

応募方法
件名を「わたしたちのフリーハンドなアトラス 応募」とし、本文にお名前(ふりがな)・電話番号・メールアドレス・活動分野・プロフィールを明記し、下記の課題を添付したメールを info.shitatame@gmail.com までお送りください。

課題
自身の日常生活の一部(例:通勤・通学路、散歩やランニングのルート)をあらわした「地図」とその説明文(800字以内)。「地図」の形式は自由です。

応募締切|7月31日(水)必着
結果通知|8月10日(土)を目途に京都芸術センターより応募者全員にご連絡します。

お問合せ|京都芸術センター 電話 075‐213‐1000 Web http://www.kac.or.jp/
主催|和田ながら、京都芸術センター  


『わたしたちのフリーハンドなアトラス』公開レクチャー

リサーチの入り口として、ランドスケープ的思考を応用し風景のデザインを探求する「地上学」を提唱されている石川初氏をお招きし、和田ながらに向けたレクチャーを公開します。

講師|石川初(慶應義塾大学環境情報学部教授)
日時|7月6日(土)14:00‐16:00
会場|京都芸術センター ミーティングルーム2
料金|無料(先着順・要事前申込)
定員|20名
申込方法|京都芸術センター TEL 075-213-1000
     又はWEBサイト(http://www.kac.or.jp/)にてお申込
※リサーチメンバーへの応募を検討されている方は参加をおすすめします。





石川初 いしかわ・はじめ
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科/環境情報学部教授。1964年京都生まれ。東京農業大学農学部造園学科卒業。鹿島建設建築設計本部、アメリカHOKプランニンググループ、株式会社ランドスケープデザインを経て2015年4月より現職。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにて、外部環境のデザインや地図の表現などの研究・教育を行っている。GPSの軌跡を使って地図上に地上絵を描く「地上絵師」としても知られている。著書に「思考としてのランドスケープ 地上学への誘い」(LIXIL出版、2018年)「ランドスケール・ブック」(LIXIL出版、2012年)「今和次郎『日本の民家』再訪」(瀝青会として共著、平凡社、2012年。日本建築学会著作賞、日本生活学会今和次郎賞)など。2018年度、東京農業より「ランドスケープから“地上学”へ ー 場への新たな概念形成とランドスケープの裾野を広げる多面的展開」の功績として造園大賞を受賞。登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。早稲田大学創造理工学部建築学科、東京大学大学院新領域創成科学研究科非常勤講師。日本生活学会理事、調布市景観審議会専門委員。東京大学空間情報科学研究センター協力研究員。



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