#6『文字移植』

■本公演
したため#6『文字移植』

わたしはどうしてもこの〈小説〉を翻訳してしまわないといけないと島へ来てからそ のことばかり考えているくせに実際にはまだ何もしていなかった。あと一日しか残さ れていないというのにわたしはまだ何をどう訳せばいいのか見当もつかずにいた。
多和田葉子『文字移植』より(講談社文芸文庫「かかとを失くして|三人関係|文字移植」)



2016年に初演をおこなった代表作『文字移植』の再演に臨みます。
ドイツ語と日本語、ふたつの言語を往還しながら創作活動を展開する作家・多和田葉子の初期作『文字移植』は、読点のない地の文と読点のみで連ねられていく逐語的な翻訳文、そのふたつが交互にあらわれるという特異な構造をもった短編小説。移して植えかえたものがより強く生きるのか弱って死んでしまうのか、はたまたまったく別の変容を遂げてしまうのか、誰もわからない。けれど、多和田葉子の言葉を俳優に「移植」したいと望み、愚直な疾走に懸けた初演は、美術家・林葵衣の手がけた舞台美術と共に高い評価を得ました。
この夏、したためはふたたび走り出します。さらに遠くへ、もっと向こうへ。したため初の東京公演、どうぞご期待ください。

2016年初演時のレビュー

彼ら、彼女らはどのように言葉と向き合っているのだろうか。言葉の群れの生命を守ること。そのことを使命として与えられ、全員が一丸となってその命の火を決して絶やさないように、次から次へと新しい肉体へ移植し続けている、そのように見受けられるというのが個人的な見解である。――綾門優季(青年団リンク キュイ主宰/劇作家/演出家)
アトリエ劇研 CRITIQUE より一部抜粋

それぞれの人物は翻訳されようとして、未だ意味を決定されない文字に、見えてくる。または意味を決定されない人物に、見えてくる。意味が途中で剥奪された身体に、見えてくる。権威を聖ゲオルグに奪われた、竜に見えてくる。(中略)したため。それは豊穣さを呼びこむ、新しい作法なのかもしれない。――川崎歩(ダンス・映像作家)
アトリエ劇研 CRITIQUE より一部抜粋

「犠牲者」という単語は、ドイツ語では「O」の字で始まる(Opfer)。紙面を蝕む、「O」のかたち。それは、空虚な穴であり、犠牲者が沈黙の叫びをあげる口のかたちなのかもしれない。ドイツ語から日本語へ、書かれたテクストから生身の身体が発語する演劇へ、エフェメラルな音声から物質的な痕跡へ。(中略)俳優の身体表現と声、舞台装置によって、テクストの密度が音響的・立体的に立ち上がり、「テクストは平面ではない」ことが身体的に了解された、優れた公演だった。――高嶋慈(美術批評)「artscape」レビュー (大日本印刷発行、2016年7月15日号) より一部抜粋


 

したため#4『文字移植』2016年6月/アトリエ劇研(京都) photo: Kai Maetani


公演情報

原作|多和田葉子
演出・構成|和田ながら
美術|林葵衣
出演|穐月萌 岸本昌也 菅一馬 多田香織(KAKUTA)

日程|2018年8月11日(土)~14日(火)
11日(土) 19:00*1
12日(日) 14:00*2/19:00*3
13日(月) 14:00*4/19:30*5
14日(火) 14:00*619:00*追加公演
*受付は開演の40分前より開始いたします。開場は開演の20分前を予定しております。

ポストパフォーマンストーク
終演後、ゲストをお招きして作品にまつわるトークを実施します。
*1 綾門優季(青年団リンク キュイ主宰/劇作家/演出家)
*2 蜂巣もも(グループ・野原/青年団演出部)
*3 渋革まろん(批評家/演出家)
*4 佐々木敦(批評家)
*5 川崎徹(小説家)、林葵衣(美術家/本作舞台美術担当)
*6 岡里崇(学芸員/上野の森美術館)、林葵衣(美術家/本作舞台美術担当)

会場こまばアゴラ劇場
〒153-0041 目黒区駒場1-11-13 TEL:03-3467-2743
*京王井の頭線「駒場東大前」駅 東口より徒歩3分
*会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際には公共交通機関をご利用ください。

■料金
一般    前売2,700円 当日3,000円
25歳以下 前売2,200円 当日2,500円
高校生以下     1,000円(前売・当日一律)
*日時指定・全席自由・整理番号付き
*25歳以下、高校生以下チケットをご利用の方は、当日受付にて証明できるものをご提示ください。
*未就学児童はご入場いただけません。

■チケット取り扱い ※予約満席につき、追加公演14日(火)19:00のみ受付
[ウェブ]専用フォームよりお申込みください。>>チケット予約フォーム
[メール]info.shitatame@gmail.com まで、希望公演日時/お名前/券種/人数/ご連絡先を明記の上メールをお送りください。こちらからの返信を以てご予約完了となります。
[演劇パスで(クレジットカード決済)]
http://engeki.jp/pass/events/detail/415

■クレジット
照明|吉田一弥
音響|甲田徹
衣装|清川敦子(atm) 
舞台監督|北方こだち
宣伝美術|岸本昌也
メインビジュアル|林葵衣
制作|渡邉裕史
制作助手|新原伶(劇団なかゆび)

京都芸術センター制作支援事業

芸術総監督|平田オリザ
技術協力|鈴木健介(アゴラ企画)
制作協力|木元太郎(アゴラ企画)
企画制作|したため/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
助成|文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)
         独立行政法人日本芸術文化振興会
主催|(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場

■お問合せ
mail.  info.shitatame*gmail.com   ※「*」を「@」に変えてください
tel. 050-5318-7717(ワタナベ)

■プロフィール

作|多和田葉子 たわだ・ようこ
小説家・詩人。1982年、早稻田大学第一文学部ロシア文学科卒業。同年よりドイツに渡る。ハンブルグ大学修士課程修了、チューリッヒ大学博士課程修了。1993年、『犬婿入り』で芥川賞受賞。ドイツでは1987年に詩集でデビュー。1988年からはドイツ語でも創作を開始し、ドイツ語での文学活動によって1996年にシャミッソー賞、2005年にゲーテ・メダル、2016年にクライスト賞を受賞。著作は多数の言語に翻訳されている。


美術|林葵衣 はやし・あおい
1988年京都出身、京都在住。美術家。身体と意識のズレの可視化をコンセプトに、動作の反復や視覚と音声の関係を問い直す作品を制作している。京都造形芸術大学情報デザイン学科映像メディアコース卒業、同大学大学院修士課程修了。近年の活動として「VOCA展2018現代美術の展望・新しい平面の作家たち」(2018/上野の森美術館・東京)、「アート/メディア - 四次元の読書」(2017/国立国際美術館・大阪)出品、声の保存をテーマとした個展「声の痕跡」(2017/KUNST ARZT・京都)など。http://hayashiaoi.tumblr.com/

photo: Ayumi Okamoto



出演|穐月 萌 あきづき・もえ
1987年生まれ。京都造形芸術大学映像・舞台芸術学科舞台芸術コース卒業後、神社に奉職し、事務仕事をしながら巫女舞を舞う。大学を卒業してから5年間は演劇から離れていたが、したため『肩甲骨と鎖骨』への出演を機に演劇活動に復帰。現在は印刷会社に転職し、文字組やレイアウトを習得中。




出演|岸本昌也 きしもと・まさや 
1987年生まれ。滋賀県出身。神楽を始めたことをきっかけに舞台に立つようになる。京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業後、座・高円寺劇場創造アカデミーにて舞台芸術を学ぶ。これまでに「地点」「カンパニーデラシネラ」などの作品に出演。石見神楽東京社中在籍。

photo: Tatsuki Katayama


出演|菅一馬 すが・かずま
1990年生まれ、京都府出身。俳優。京都精華大学卒業。主な出演作品、デ『もう、これからは何も』(2014)、したため『文字移植』(2016)、VOGA『aboutXX』(2017)など。そのほか個人で演劇作品の発表も行っている。主な作品、『ムスメの貝割れ大根』(2014)、『かばの油』(2014)など。




出演|多田香織 ただ・かおり
1987年生まれ、福岡県出身。高校時代より演劇を始める。2006年から2015年まで福岡の劇団万能グローブガラパゴスダイナモスに所属、看板女優として活躍する。2015年から東京に拠点を移し、劇団KAKUTAに入団。舞台出演の他に、テレビドラマ、CM、映画など多方面で活動するほか、ラジオドラマやナレーションでの出演も多数。



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